三留商店

まさに琥珀色の芸術品ボナーティ製「パルミジャーノ・レッジャーノ」

ボナーティ製「パルミジャーノ・レッジャーノ」

※現在のお取り扱いはございません。

パルミジャーノ・レッジャーノがチーズであること、今では知らない人のほうが少ないくらいです。こんな舌を噛みそうな名前が、我われ日本人の口から、ごく滑らかに、出てくるようになりました。それだけイタリア料理が定着した証しなのでしょうね。
しかし、私がこれを初めて食べた時、いかに今までパルミジャーノについて無知であったかを思い知らせれることになったのです。小さな塊が口中ではらりと崩れて広がった豊かな香りは、健康な牛のミルクか生まれたことを雄弁に語るものでした。

このパルミジャーノはパルマ郊外に住む、ボナーティ家で作られています。ボナーティ家は、ご主人ジョルジョと長男ジャンルーカを中心にした先祖代々の酪農家です。
ジョルジョのいちばんの自慢は「うちのミルクはハーブの香りがする」ということ。事実ボナーティ家の百頭を超える牛が放牧されているのは、一千年も前から、少しも衰えることなくハーブが生い茂る広大な草原なのです。牛たちは、この豊潤の恵みを日長一日ゆっくりと食み、逞しく育っています。
なお、牛の耳にはコンピューターチップスを埋め込み、個体ごとに食餌を徹底管理。昔ながらの製法との対比が、興味深いところです。
この健康な牛たちが提供してくれるミルクは、濃いだけでなく、たいへん力強いもの
パルミジャーノ・レッジャーノ協会から最優秀賞を連続授与されている、文字どおり、折り紙付きのミルク。だからこそ、あまり塩を使わずに長く熟成できるのです。
さて、パルミジャーノの作り方を、ごく簡単にご説明しましょう。

一晩おいて脂肪分を浮かせたミルクと、朝搾乳した新鮮なミルクを混ぜて温め、乳清や酵素を加えながら次第に温度を上げていき、攪拌と凝固のプロセスを経て、九十キロほどの塊にします。乳清を切って型に移し、濃い塩水に浸して二十日間。これを乾燥させたのちに、室で熟せいさせます。法で義務つけられている熟成期間は最低二年。しかし、ボナーティ家のパルミジャーノは、四年も寝かせているのです。
こうしてできるパルミジャーノは塩辛くなく、コクと深みのある味や甘い香りが特徴。表面に見える白い斑点こそ美味の証明です。なにしろ、チーズに含まれる天然アミノ酸が結晶したものですから。
これはまた、国内はもとより、世界中のレストランから注文がきます。パルミジャーノで唯一、ISO9002という高品質の認定を受けたとなれば無理からぬ話し。
現地では、食後に食べるのはもちろん、新鮮な野菜やオレンジ、松の実などに、これを細かく切って加え、サラダにもするそうです。

三留商店主人より

「四季の味」No.29/夏号 寄稿