いまや日本の食生活にすっかり定着したオリーブオイル。どこのお宅にも常備してあって、パスタやカルパッチョといったイタリア風の料理のほかにも、じつに多彩な使い方をされているのではないでしょうか。
その証拠に、スーパーに行けばずらりと瓶が並んでいます。どれを選んだらいいのか困ってしまうほどです。

さて、ここでご紹介するのは、そんなオリーブオイルのなかでも、ちょっと変わり種。“リモーネ”の名のとおり、レモンフレーバーのなんともさわやかなオイルで、一度使ったら病みつきになること請け合いです。
製造元は、イタリアはアブルッツォ州のマルテッリ・アグリコーラ社。
オリーブオイルは、手で摘み取ったオリーブの実を、どれだけ新鮮なうちに搾油するかで味が決まりますが、この会社は自社農園すぐ隣りが工場なので、まさに申し分のない環境。また熱をまったく加えないコールドプレス方式で搾るので、品質のよさは保証つきというわけです。

このレモン風味のオイルは、こうして完熟オリーブを搾る際に、皮つきのイタリアレモンを一緒に圧搾するという、イタリアでも非常に珍しい方法をとっています。これが、マイルドでフルーティーな味わいの秘密。オイルに後からレモンを加える製法では得られない、しっかりと一体感のある味わいです。

爽快感あふれるレモンの香り、ほどよく感じられる皮の苦み。酸味が加わったというより、風味が濃厚といったらいいでしょうか。
それだけに、オイルを過熱しないで利用する料理に好適。魚介類のマリネやカルパッチョなどのほか、焼き魚や冷や奴にかけても上上のおいしさです。
もちろんドレッシングにも打ってつけで、一味も二味も違った味わいになりますが、野菜にそのままかけて塩をぱらりと振るだけでも、立派なサラダになるでしょう。
さわやかな香りの余韻に浸る至福のひとときを、ぜひご堪能ください。
なお、姉妹品の“バジリコ”もおすすめ。こちらは、バジルの葉を完熟オリーブオイルに独自の方法で浸けこんだもので、その濃厚な香りと、芳醇な味わいが特徴です。パスタやピッツァの香りづけにはもちろん、フレッシュトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼなどによく合います。どちらにも、年に一度、オリーブオイルの最後の圧搾時にしか作らない、数量限定です。

三留商店主人より

「四季の味」No.65/夏号 寄稿