三留商店

自然への敬愛が生む味ジョゼッペ・コニーリオの枇杷の蜂蜜

ジョゼッペ・コニーリオの枇杷の蜂蜜
イタリアのシチリア島から、たいへん稀少な蜂蜜が届きました。ジョゼッペ・コニーリオ氏の手になる枇杷(びわ)の蜂蜜です。入荷はなんと五年ぶり。この十年間にたった二回しか輸入されていないのですから、これぞ幻の一品といっても過言ではないでしょう。

シチリアは気候が温暖なので、一年を通じて多彩な花が咲き乱れます。それゆえ養蜂が盛んで、業者もたくさんいますが、コニーリオ氏はまったくの個人で、蜂とともに島内を移動しながら蜂蜜を採取。自然に対し強い敬愛の念を抱き、養蜂も自然の摂理にしたがうべきとの考えから、蜂を公害などのあらゆる悪循環から遠ざけて飼い、採取した蜂蜜も、熱処理はもちろんいっさいの加工を施さずに製品化しています。

枇杷の蜂蜜は、州都パレルモならではのもの。この周囲には枇杷畑が広がっていますが、開花する冬には周りにほかの花が咲かないため、きわめて純度の高い蜂蜜が採れるそうです。
しかし、いくら温暖な土地柄といっても、冬は蜂にとって苛酷な季節。昨今の異常気象の影響で思わぬ低温に見舞われると、まったく活動できなくなってしまいます。近年はシチリアにも宅地化の波が押し寄せ、枇杷畑が減ってきていることもあって、生産量はおのずと限られてしまうというわけです。

さて、この枇杷の蜂蜜は、クセのない、やわらかな味わいが特徴。パンに塗っても、紅茶に入れても、枇杷独特の繊細な風味を愉しめるでしょう。チーズにとろりとかけて食べても、また格別のおいしさ。とくに、パルミジャーノ・レジャーノやブルーチーズとの相性は抜群です。

三留商店主人より

「四季の味」No.67/冬号 寄稿