三留商店

九十二歳の女性が作る味マリエンホーフ社の「ワインジャム」

マリエンホーフ社の「ワインジャム」
ドイツのマリエンホーフ社から、宝石と呼ぶにふさわしい、まさに珠玉の味わいを持つワインジャムが届きました。

マリエンホーフ社は、ライン川の南部に位置するファルツ地方のフェニゲン村で、現在七代目が継承しているドイツでも由緒あるワイナリー。日照が年間およそ1870時間におよぶという恵まれた気候風土のもと、手作業を重視して高品質のの葡萄を収穫し、妥協をいっさい許さずに、ワイン作りの伝統を守っています。
このワインジャムももちらん例外ではなく、間違いのない原材料のみを使って、手間をかけて手作りしています。その製法は、親から子は、子から孫へと、三代に渡って、家族のみの秘伝として丁寧に受け継がれてきました。当初は、葡萄の収穫時期にあわせて秋と冬にだけ作っていましたが、他の季節にもどうしても欲しいという人や、評判を聞いて興味を持つ人が増え、十五年前ほど前から一年を通じて生産するようになったそうです。
現在すべてのワインジャムを手掛けているのは、御齢九十二というヘディグ・ル・レティーフさん。
お孫さんにあたる八代目のレネーさんによると、彼女は歴代きっての素晴らしいワインジャムの造り手で、さまざまなワイナリーの仕事の中で、このジャム造りがもっとも大好きな仕事とおっしゃっているとか。

余談ながら、ワイン祭りのときに彼女の作るポテトサラダが絶品で、これを食べるために遠方からわざわざ足を運ぶ人もいるそうです。
それはさておき、このワインジャムには、マリエンホーフ社のワインのなかでも、とりわけ香り高くフルーティーなものを厳選し、白のワインジャムはリースリング種を、赤はドルンフェルダー種を使用しています。
その他の材料は、林檎から作られる天然ペクチンとビート(砂糖大根)のみ。あくまでも安全で自然なものしか使わないのは、マリエンホーフ社の心意気といえるでしょう。

白砂糖ではなくビートで甘味をつけてあるので、甘さはすっきりとして抵抗がありません。芳醇なワインの風味が味わいを豊かに引き立てて、絶妙なハーモニーを醸します。
カリッとトーストにしたパンに塗って愉しむのはもちろんのこと。コーヒーや紅茶に入れたり、そのままデザートとして食べても格別です。
また、鶏肉のソテーなど、肉料理のソースにするといった利用法も。カクテルの素材としてお使いになってもおもしろいでしょう

三留商店主人より

「四季の味」No.62/秋号 寄稿