三留商店

古代小麦で造った地ビールトスカーナの「ペトロニョーラ」

トスカーナの「ペトロニョーラ」トスカーナの「ペトロニョーラ」
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近年、フランスなどヨーロッパのワイン大国で、若者を中心にビールの需要が急激に伸びているそうです。イタリアでは、地ビールを造る小規模な生産者が破竹の勢いで増えています。
今回ご紹介するのは、そのなかでも特に個性的な、ファッロを原料としたオーガニックビール。ファッロは、エジプト、メソポタミア時代から食べられていた古代小麦で、現在の小麦の原種といわれるものです。

醸造元は、トスカーナ州ガルファニーニャのペトロニョーラ社。オーナーのロベルト氏は、この地の農家に生まれ、ワインの生産の手掛けていた両親の影響で、幼いころから醸造に深い関心を持っていました。しかし、十二歳のときに両親を亡くし、長じてからはトラックの運転手や事務職などで生計を立てていましたが、そうしたなかでもビール造りに興味を持ち、パイオーロという大きな銅鍋を使って、こつこつと研究を重ねていたそうです。
その後、銀行から融資を受けて本格的な機械を揃え、数名の友人と会社を興して、七年前からビールの醸造を開始。当初はベルギービールを参考にしていましたが、やがて地元の名産品であるファッロを原料とした独自のビールを開発すると、たちまち高い評価を得ました。二年前ほどから完全に軌道に乗り、ようやく自分が追い求めたビールを作り上げることができたそうです。
醸造後に残ったビール滓は、ファッロ農園で飼育している牛の餌になり、その牛の糞がファッロの肥料になるという、循環システムになっています。

このビールのラインナップはつぎの四種。

ビアンカーベルギーの白ビールに近い軽い味わい。明るい金色で爽快な香りが特徴。アルコール度数は5パーセントとやや低め。
クラシカ-金色をしたピルスナー系で、特に魚介類によく合う。
サンディ-これはロベルト氏の愛娘の名。色合いが亜麻色の髪の毛に似ていることからの命名で、彼女の大好きな猫をラベルのモチーフに。
ネラ-ロベルト氏がいちばん好きというダークビール。まったくクセがないので、どんな料理にも合う。
いずれも、まだ日本に輸入されたばかり。数軒のレストランでしか味わえない逸品です。

三留商店主人より

「四季の味」No.66/秋号 寄稿