三留商店

蜂蜜の島の素朴なお菓子プルネッドゥ社の「トッローネ」
ヘーゼルナッツ/アーモンド/クルミ

プルネッドゥ社の「トッローネ」

イタリアでは、クリスマスが近つくと、お菓子屋さんにトッローネがずらりと並びます。
トッローネは、蜂蜜と卵白を合わせたところに、ナッツをたっぷりと加えて練り固めた、いわゆるヌガー。
イタリア人にとって、これをクリスマスに食べるのが、古くからの慣わしとなっているのです。
トッローネの名産地として知られるのが、シチリアに次ぐイタリア第二の島、サルディニア島のトナラ村。なかでも高い評価を得ているのが、ここにご紹介する、プルネッドゥ社の製品です。
一口食べていただければ、いかに良質なものか、すぐお解りいただけるでしょう。

後味のよい、いかにも素朴な甘味を持ち、硬からず軟らかすぎずといった歯ごたえは、まさに絶妙。 そしてヌガーとナッツのバランスがよいことも、特筆ものといえます。
そのおいしさの秘密は、どうやら蜂蜜にあるようです。蜂蜜は、よくご存知のとおり、花の種類はもちろん、季節によっても味わいが変わります。そこでプルネッドゥ社では、島内の数十軒もの業者と契約し、選び抜かれたものだけを使っているとか。高品質で世界的の名高いサルディニア産の蜂蜜のみで作られているのは、プルネッドゥ社の製品だけとのことです。
そもそも、トッローネの発祥はアラブで、十四世紀の初頭にサルディニア島に伝わりました。当時は砂糖で作られた、たいそう硬いものだったようです。それが、次第にこの島で採れる蜂蜜が使われるようになりました。
プルネッドゥ家でトッローネが作り始められたのは、1860年頃とのこと。かつては、蜂蜜と卵白を真鍮の型に合わせて、煙りの少ない良く乾いた薪で加熱しながら、長い時間をかけて一定の方向に一定の速度で練り、そこへナッツを加えるという、非常に労力を要する手法がとられていました。混ぜる加減によって、仕上がりの硬さがまるで変わってくるので、職人達はさぞ腕を競ったことでしょう。現在は、機械化されていますが、伝統的製法の利点を損なわないようにいろいろと工夫がこらされているそうです。

このプルネッドゥ社製のトッローネはご覧のように大きな俎板状のものを小さく切って出荷されます。アーモンド入り、ヘーゼルナッツ入り、胡桃入りの三種類がありますのでどうぞお好みのものをお選びください。
ちなみに賞味期限はアーモンドとヘーゼルナッツが一年で、胡桃は約半年です。これこそが、厳選した材料が使われて、無添加である証し。賞味期限が妙に長いものを見つけたら、他国の安価な蜂蜜や砂糖を混ぜたり、保存料を加えていると疑ったほうがよろしいでしょう。

三留商店主人より

「四季の味」No.39/冬号 寄稿