三留商店

香り高いミルクが作る味ボナーティ家の「バター」

ボナーティ家の「バター」
※現在のお取り扱いはございません。

「まさに琥珀色の芸術品」と題してお目にかけた、パルミジャーノ・レッジャーノをご記憶でしょうか。
イタリアのボナーティ家で製造されているもので、四年間もかけて熟成させるだけあって、ゆたかな香りと深みのある味は、陶然となるほど。世に出回るチーズとは一線を画す、文字どおり芸術品といえる逸品でした。
今回ご紹介するバターは、そのパルミジャーノ・レッジャーノを作る工程でできる生クリームで作ったもの。ひとかけ口にするだけでも、チーズと同様に、一般のバターとの違いを実感していただけるでしょう。
それは、使用する牛乳の風味が高貴で、アロマも感じられるからです。
ボナーティ家は、イタリア北部のオアッルマ郊外に牛舎を構える酪農家。ご主人のジョルジョと長男のジャンルーカを中心に、先祖代々この土地で牛を飼い、チーズを作り続けています。

一千年も前からまったく変わらないという、土壌汚染とは無縁の広大な牧場に生い茂るのは、自然に生え変わり続けたハーブ。ボナーティ家の牛たちは、このハーブを飼料にして、たくましく育つわけです。
この牛の乳が、いかに安全で香り高いものかは、容易に想像がつくでしょう。パルミジャーノ・レッジャーノをご紹介したときにも記しましたが、ジョルジョルのいちばんの自慢は「うちのミルクはハーブの香りがする」こと。事実、権威のあるパルミジャーノ・レッジャーノ協会から最優秀賞を連続授与されるほど、極めて高い評価を受けています。

ボナーティ家のパルミジャーノ・レッジャーノは、まず牛乳を一晩寝かせて、良質な脂肪分(生クリーム)を浮かせますが、この脂肪分をザンゴーラと呼ばれる機械で、三時間という長い時間、ゆっくり回してバターにします。
大量生産品は、回転力の早い機械であっという間に凝固させるので、バターの分子が崩れてしまいますが、ザンゴーラなら分子はしっかり守られるという寸法です。
そればかりか、味よく仕上がるために発酵させないでので、もちろん人工的な発酵菌も使いません。
こうして作られたバターは、ご覧のような美しい白色。なんともやさしい味わいで、塩気もまろやか。
バゲットにたっぷりと塗って、ワインを傾ける---それだけで食卓が一気に豊かなものになるでしょう。
なお、このバターは来る四月中旬以降に日本に初輸入されます。したがって販売単位や価格は未定ですが、一人でも多くの方にこのバターをお試しいただきたいと思い、ひと足お先にご紹介した次第です。

三留商店主人より

「四季の味」No.60/春号 寄稿