三留商店

マレーの胡椒に魅せられてベローナ・マリチャの胡椒
アロマティコ/ネロ・ディ・サラワク/ネビアンコ・ネネロ

ベローナ・マリチャの胡椒
どこのご家庭でも、毎日の食事作りに欠かせない胡椒。いまでこそ当たり前のように使われてますが、かつて世界中の食生活を一変させ、大航海時代の発端となるなど、歴史までもを動かしたこと、よくご承知のとおりです。
この小さな一粒に、いま熱き情熱を注いでる男がいます。その名はフラージ氏。コーヒーの輸入販売会社、ジャマイカカフェのオーナーです。彼は、豆の摘み方から焙煎まで、すべての工程をプロデュースして、最高のものを誕生させるコーヒーの錬金術師。ことにコーヒー豆に含まれるアロマに関しては、カリスマ的存在として知られています。

彼は、東洋やインド哲学に関心が深く、アロマを含むインド原産の胡椒にも興味を抱いたとか。そこで、インドをはじめ世界中の産地を何年もかけて馳せ巡り、ようやくマレーシアで納得のいく胡椒を見つけました。収穫後二十四時間以内に加工するという、世界でもまったく類を見ない製法で胡椒を作る、シエウ氏に出会ったのです。
そして昨年三月、べローナに胡椒専門の会社を設立しました。社名のマリチャは、インドのサンクスリット語で胡椒の意。定評あるジャマイカカフェのブランドを使わず、あえて別会社の興したのは、胡椒一本で勝負しようという、心意気の証しでしょう。
さて、一口に胡椒といっても、品種や加工法によって、風味も色合いも異なります。今回はじめて輸入されるのは、数ある製品のうちの三種類。アロマティコ、ネロ・ディ・サラワク、そしてネビアンコ・ネネロです。

どれも、シエウ氏の手になるものをフラージ氏が厳選しただけあって、香りのよさは抜群です。ですから下味用としてではなく、ぜひ料理の仕上げにご利用を。その際は、ミルを使わずに、かならず叩き潰してください。封じ込められていたアロマが、あざやかに蘇ります。ちなみに、この胡椒とパルミジャーノだけで作るスパゲッティは、まさに絶品です。

三留商店主人より

「四季の味」No.48/春号 寄稿